【公的勇者】ソーサリー主人公が高卒公務員だった場合

スティーブジャクソンの傑作「ソーサリー」のプレイ小説。 愚痴と不満が渦巻くニヒリズムファンタジー

宿屋の料金は、貧乏な僕をあざけるかのような価格で、やり場のない憤りを感じるレベルでさ。

宿泊が金貨5枚、食事が金貨4枚だって…

 

何度も言うけど、僕がこの任務を命じられて最初に持たされたのは金貨20枚だ。

「1日20枚」とかじゃなくてさ、「全行程を通じて20枚」なんだよね。

そして、金貨20枚といえば、僕の年収に近い

 

1泊してメシ食うだけで年収の半分近くを払う宿ってなんだよ!

肩に乗ってるオジャマ虫のジャンの分も入ってるってことか?

でもこいつは旅行業協会の回し者だと思うから、客じゃないよね。

GOGOキャンペーンでジャブジャブの協会なのに、現場で働く下っ端には満足に給料も払ってないとか?

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それで、ジャンが憑りついた客が払う代金に上乗せして、日当をひねり出してるとか…

ありえるな、腐敗しきったアナランドの産業界なら。

 

それから、下っ端公務員の僕の給与が低すぎるのも、価格を聞くたびにショックを受ける原因だよね。

普通にGOGOを使える階層の人から見たら、いくらこのビリタンティのクソ高い宿賃も「自分へのご褒美」とかいう謎の言葉でカタが付くんだろう。

 

ご褒美に金かける余裕がない僕にとって、いちどきにした多額の支出はただの自殺行為にしかならない。

何だか空しくなってきた

そして腹も立ってきた。

今夜は夜行生物に襲われてもいい。野宿だ。

 

金額を聞いたとたんに踵を返す僕のことを、宿の従業員は蔑んでいるんだろうなという被害妄想とともに、建物を出た。

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「チッ!」という音がやけに大きく聞こえてギクッとしたんだけど、それは耳元で舌打ちしたジャンのものだった。

(この野郎)

とは思ったけど、コイツも旅行業協会事務局に体よく使われている駒だと思うので我慢した。

僕が宿屋に泊まって飯を食わなかったから、コイツも今日の日当は出ないようだからね。

 

贅沢が目的じゃなくて、ただ食い扶持が要るから身を挺して稼ぐ現場員が、その苦労のわりに日の目を見ない状況を、ジャンと共有していることには変わりがない。

僕の魔法を使えなくしている迷惑なやつだけど、そこだけはジャンと分かり合える気がしたんだ。

 

村の外へ出てすぐの場所に、野宿によさそうなスペースを見つけた。

ハロウィンの騒がしさは続いているけど、ここは静かだ。
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ジャンと食事を分け合って食べたあと、僕たちは眠った。

村のすぐそばということもあってか、近くに夜行生物も居ないようで、朝までぐっすりだったよ。

 

(メタ記述)

ステータス

技量8(+1広刃の剣) 

体力13→18(食事で+2、眠って+3) 

運勢ポイント8

金貨:10

食料:2→1

持ち物:なまくらの剣、竹笛、ゴブリンの歯12、ジャイアントの歯1、銀の鍵(111)、金貨10枚分の宝石1、にかわ入り薬瓶、鼻栓、玉石4、スカルキャップ

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グランドレイガー酒場を出ると、僕はジャンに文句を言った。

 

「おいジャン。ビリタンティの人たちは、ここがGOGO対象外になったこと知ってるんだろ? ならなぜこんな高値を付けるんだ?」

 

本当はグランドレイガーに聞きたかったけど、彼は怖すぎるから質問を差し控えさせていただいたんだ。

不用品と引き換えにエールを飲ませてくれたしね。

それにもしも、「お答えは差し控えさせていただきます」なんて、下向いて棒読み調で返答されたらドン引きするからね。

 

ジャンは悪びれもせず、僕に説明する。

「だから金貨2枚なんだよ。もしGOGO対象地区だったらこの倍の値段はするよ」

「なんだよそれ? ひどいボッタじゃないか」

 

ジャンが言うには、アナランドが悪いんだってさ。

質の悪い景気浮揚策はかえってデフレを誘発して経済を停滞させるっていうんだ。

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たしかに、一時的に半額になった感覚が身に付くと、キャンペーンが終わったとたん、値段が倍になった気がして使わなくなるからね。

それに、物価指数に連動して年金が減ったら、いま貰ってる世代だけじゃなくて、払ってる側の僕たちの絶望感も爆上がりだからさ。

 

そりゃあ景気も一気に冷え込むってもんだ。

だからビリタンティでは、GOGOの対象になったら価格を倍に釣り上げるつもりでいたらしい。

 

たぶん、アナランドでやってる乱痴騒ぎのGOGOキャンペーンが終わったとき、反動で需要が冷え込む各地域の中、ビリタンティだけが堅調な勝ち組になるんだろうね。

 

なんともクレバーな村だ。

しかし、だとしたら今のこの乱痴騒ぎは一体なんだ?

通りの向こうでは、一人の少年が老婆を膝に乗せて尻をぴしゃぴしゃ叩いている。ワケがわからん。

ウザいからZAPの呪文で一撃死させてやろうとしたけど、ジャンがいることに気づいて思いとどまった。魔法は使えないんだった。

 

まあ、この村の乱痴騒ぎはきちんと計画された年に1度の限定的なもので、アナランドの乱痴騒ぎに比べれば上質ってことになるのかな。

もたつく足で宿屋に向かいつつ、このビリタンティでの1宿1飯の価格にヒヤヒヤしていた。

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ちなみに、前も何度か言ったけど、下級公務員の僕の年収は、今回の任務で渡された金貨20枚とさほど変わらない。

年収の10分の1近い「ジョッキ1杯のエール」ってさ…

バカ高い年代物のワインだって、1回で飲み切るわけじゃない。
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どう考えても高すぎだろ。

ただ、こういうところの酒代って、「情報料」っていう意味合いもあるからな

 

僕はグランドレイガーに物々交換を持ち掛けた。

カントパーニで買った「歯の入った袋」なんかどうかな?

ゴブリンとジャイアントの歯は、魔法に使うからあげないけど、デス・ハウンドとスナッタキャット、それとサルの歯を袋付きであげるよ。何の役に立つか知らんけど。

 

「OK」

グランドレイガーは申し出を受け入れてくれた。

ラッキー! 金貨2枚と、僕の命が助かった。

 

僕は自分がカーレに向かっていることを話すと、それにはトレパーニ村を通らなくてはならないと彼は言う。

そして、そこに住むスヴィンたちの、最近の様子が変だと教えてくれた。

理由は不明だそうだ。

 

これは良い情報だ。

トレパーニでは、とにかく揉め事を避けろってことだね。

 

少々酔ってきたので、この辺で宿屋へ向かうとするか。

追加料金を覚悟したけど、彼にとって動物の歯はよほど価値のあるものらしいね。

何も求めてこなくて助かったよ。

 

(メタ記述)

ステータス

主人公:技量8(+1広刃の剣) 

体力11→13(グランドレイガーのエール) 

運勢ポイント8

金貨:10

食料:2

持ち物:なまくらの剣、竹笛、ゴブリンの歯12、ジャイアントの歯1、デス・ハウンドの歯、スナッタキャットの歯、サルの歯、銀の鍵(111)、金貨10枚分の宝石1、にかわ入り薬瓶、鼻栓、玉石4、スカルキャップ

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