【王たちの冠】を奪還するために軍隊を動かさず、たった一人の担当者をマンパンに差し向けるという国家機密を、あろうことか大々的に宣伝したアナランド政府。
となれば次に起こるのは、救国の使命に任じるヒーロー候補は誰かという憶測と共に、やれ担当者の資質だとか任命責任とかが取り沙汰される。
そのほかにも、任命の権限は大臣に任されてるけどその理由は説明の必要があるだとか、国内世論が沸騰して政治家や宮廷官僚に殺到した。
そのほかにも、任命の権限は大臣に任されてるけどその理由は説明の必要があるだとか、国内世論が沸騰して政治家や宮廷官僚に殺到した。
たちまち狼狽の極に達する宮廷官僚たち。
ちなみに、彼らの狼狽沸点は、バターが溶けはじめる温度より低い。
「国民はすぐにパニックを起こす」とうそぶいている宮廷官僚たちこそ、何かというとすぐパニックを起こすんだ。
彼らには、机上のバーチャル以外のすべてが『非日常』なんじゃないかなと思う。
パニクってヒステリーを起こしては愚かな決定をし、ツケを国民にまわすのも、通常営業レベルだしね。
国中に自分たちのパニックを感染拡大させて惨憺たる状況を作り出しながらも、給料はしっかり保証されて食い扶持だけは失わぬ彼ら(ま、僕ら下級公務員もそうだけど)には、『マッチポンプ』という言葉がお似合いだ。
嫌味な性質だね。ほんとに。
そして、悲惨な状況に陥れて苦しむ国民を見て彼らは言う。
「ホラ見たことか。やはり国民はバカで下等な生き物だ。今回もまたこんなにパニックを起こしている。やはりこの国はオレたちのような賢才が引っ張らねばならないのだ(ウンウン)」
お城の中では、こんな理屈が大手を振ってまかり通る。
宮廷には彼らの世話役として庶務系の事務官が数人、官庁街から配属されるけれど、そのポジションは別名【役人の墓場】と呼ばれるほど離職率が高い。
宮廷官僚たちは口をそろえて「重責に耐えられないからだ」と言うが、実際には「バカのお守りに耐えかねて、人としての尊厳を守るために」辞めていく者がほとんどなんだ。




