【公的勇者】ソーサリー主人公が高卒公務員だった場合

スティーブジャクソンの傑作「ソーサリー」のプレイ小説。 愚痴と不満が渦巻くニヒリズムファンタジー

2020年11月

(僕はGOGO使ってない!)

クリスタタンティの居酒屋へ入店した僕を、胡散臭そうに眺める村人たちの視線が痛い。

 

かろうじて店主だけが僕に声をかけてくれるけど、たった1杯のエールで金貨1枚を取ると言いだした。

ジョッキ1杯のエールなんて、観光地でもせいぜい銀貨1枚がいいところだ。

 

(オイオイ! カクハバード地区はGOGO対象外になったんだぜ!)

文句を言いたいとこだけど、現在アナランドでは、客だからって店主に難癖つけて営業妨害するクソ客行為は慎む傾向にあるから、あまりギャアギャアは言いたくない。

 

(仕方ない)

僕はバカ高いエール代を払うことにして、飲み物を受け取ってしわしわの老人の隣に腰かけた。

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静まり返ってしまった店内は相変わらずで、全員の視線は僕に集中しっ放しでどうにも居心地が悪い。

カクハバードはGOGO利用対象外になってるから補助は受けてないことを説明したいとこだけど、ここはまず、季節がらみの話題で場を和まそう

 

道がぬかるんで大変だったと、参りきった顔つきでひとりごとを言うと、老人は「ウンウン」と相づちを打ち、会話が始まった。

土地の人間が僕を受け入れたせいなのか、それとも実はこの老人は2階にでも住んで権力を握っているのかはわからないけど、ようやく店の客たちは僕への警戒を解いて、元の喧騒が戻った

 

どうやら老人は1階住まいのただの農夫で、単に情報ツウなだけだったらしい。

「旅の人よ。この村を抜けると道が二手に分かれてな。一方はアリアンナの家のそばを通るぞ」

 

アリアンナ…

この先のダンパス地区なら環境調査で何度も行ったが、アリアンナという名は聞いたことがないな

 

「もしアリアンナが家にいたら、あんたは少々頭を使わにゃならんぞ」

クイズ王か? クイズ王なのか? アリアンナって…

 

「もう一方の道は丘を登って、大いなる者の領分リー・キへ通じておる」

シャンカーの最高地点に到達したから、もう登るのは充分だ。

それに、デッカイやつと戦うのはしばらくごめんだね

べつに「大いなる者」が体のデカさとは誰も言ってないし、そもそも戦うって決まってるわけじゃないが…

 

「わしはあんたにシンドラの幸運が舞い込むよう祈っとるでな。それからこれを持って行きなさい」

老人は畑で取れたリンゴのような果物をくれた。

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ボンバという名で、これを食べ物と一緒に摂取すると、体力が倍ほども回復するらしい。

今の僕にとって、これほどうれしいものはない。

ありがとうよ。じっちゃん。

 

僕は老人に礼を言って、居酒屋をあとにした。

 

(メタ記述)
老人との出会いで運勢ポイント2の回復指示あり

ステータス

主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力3 運勢ポイント7→8(初期値のため回復は1だけ)

金貨:6→5(エールの代金で1減少)

食料:3

持ち物:なまくらの剣、竹笛、ゴブリンの歯12、ジャイアントの歯1、デス・ハウンドの歯、スナッタキャットの歯、サルの歯、銀の鍵(111)、金貨10枚分の宝石2、ボンバの実

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今回の緊急補正予算中で最大の事業予算が投じられた【王たちの冠】奪還

その命がけの任務を担当する唯一の国家公務員である僕に、なぜかその多額の予算による恩恵はまったく無い

 

でもね、わが祖国アナランドの一部における賑わいは、僕の実情とかけ離れて派手さにあふれててね。

 

何やら「奪還した王冠の収納場建設」とか「王冠が王宮まで運ばれるルートの整備」なんて、捕らぬ狸の皮算用で大掛かりな設備投資がされてる。

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なぜか、物作りの予算よりも関連事務手数料の予算額が大きいとか、莫大な物資が幽霊会社へ発注されたりして、何にお金をかけてるのかさっぱりわからないんだけどね。

 

他にも「GOGO奪還キャンペーン」とか「一人ひとりがあきらめない気持ち・爾霊爾霊」みたいな、任務とは全く無関係で凄まじく意味不明な商業イベントへ、領民の税金が大々的に垂れ流されている

ちなみに『爾霊(にれい)』とは「爾<なんじ>の霊」の意味で、要は“あなたの気持ち”ということだ。

僕にはこの余計な重複が印象操作にしか思えない。

 

こういうプロパガンダ的なことを得意げに言い始める人は、一体この非常事態をどう捉えてるんだろう?

国家の危機、世界の危機だってのに、税金を自分の懐に入れ放題のボーナスステージが来たと沸き立つ連中が、【王たちの冠】奪還事業をいじくり回したんだ。

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それでさ。

民間事業者へ発注された事業には、会計法第29条の3第4項が適用されたらしいんだよね。

つまり競争は行われずに、国の指定で発注されたってことだよ。

宮廷官僚と政治家の暗躍があったことはほぼ確定だね。

 

ちなみに、僕が任命された業務はれっきとした国家の仕事なんだけどさ、予算の9割5分は外注で民間請負なんだ。

 

もちろん僕の給料は役所から出てるけど、事業サポートの名目でハンナとデソシーという御用商人が、莫大な予算を分け合って受注してる。

僕の食料とか諸雑貨はハンナが負担して、デソシーは旅先の宿や飲食店の予約とかを受け持ってる。

僕がわざわざ旅先で剣を調達しなきゃならない意味が分からないよ。

 

それでね。

今アナランドでは治安の悪化が大問題になっててさ。

国外からの軍事攻撃はいつ火ぶたが切られるかわからない。

国内では不安の高まりから犯罪件数も増えてる。

まさに「内憂外患」って感じでね。

 

なのになぜか宮廷官僚たちは積極的に旅行を推進してて、なんでも「家にいると危ないから旅行に出よう」っていう破たんした理屈で、旅行代金の最大5割の還元を宣伝してるんだ。

 

このキャンペーンへの申し込み、なぜかデソシーの2階以外では受け付けないという謎の仕組みになっている。

離れた地域に住む人々は、いちいちデソシーの2階まで行かなきゃならないからさ。

もうそれ自体が小旅行になってるんだよね。

 

大げさに宣伝した割に、一部の人だけに有利な条件になってるって、不公平さが糾弾されてるけどお構いなしでね。

ただ、僕の家からはデソシーの二階が近かったんで、少ない割り当て予算の助けになるから、今回のカクハバード出張で利用させてもらおうと思ってたんだ。

 

なのにさ。

どういうわけか、カクハバード地区が対象除外になったわけだよ。

どうかな? この理不尽さ…

 

あの多額の緊急特別補正予算はどこへ消えたんだ?

少なくとも、この事業の任務担当者のために使われてないことはたしかだよ。

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クリスタタンティの村へ入り、一軒の居酒屋を見つけた僕は、夕闇が村を覆う刻限に、一時の憩いを求めて中へ入った。

店内には、ひと目でここの村人と判るいでたち(頭の上に結い上げた髪)の客があちこちに座っている。

仲間とはしゃぐ一団もいれば、静かに飲み物の器を傾ける一人客もいる。

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見慣れぬ僕の姿に全員の視線が集中し、賑やかだった店内は一気に静まりかえった。

ヤバいのか? なんかヤバいのか?

 

でもクリスタタンティもカントパーニと同じく、外部からの来訪者を想定して宿屋もあるし、観光地として人気のこの村へ訪れる旅行客は、カントパーニなどとは比較にならない多さのはずだよ。

居酒屋に異郷の旅人が入店するくらいは普通にあるはずだし、ここまで奇異な目で見られる理由はないと思うけど。

 

(そうか!GOGOのせいか)

さすがにこの話は、世事に疎いクリスタタンティといえども、大きな関心事だったと思うんだ。

 

 

アナランドがマンパンの大魔王に盗まれた【王たちの冠】を取り戻すために組まれた補正予算の額は莫大だ。

なんたって、そのせいで世界的な危機がおとずれているからね

責任を負ったアナランドとしては、自国の財布をひっくり返してでも、この世界の至宝を取り返さなくちゃならないことになった。

当然だよね。

 

だから、〇○の一つ覚えのように消費増税し、児童手当を制限し、困窮者の補助は見ぬフリ、そして議員給与は絶対聖域として決して削減には手を付けずにひたすら領民負担だけを課し、多額の緊急補正予算を組んだ。

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その多額な予算の内訳の中で最も多額なのが、今の僕が担当している奪還事業だ。

当たり前だけどね。すべてがこれありきなんだから。

 

なのに、その実施担当者である僕の身の回りには、分厚い予算の片鱗も感じられないんだ。

そのことは、これまでの経緯で分かったでしょ?

僕以外に、マンパンへ乗り込む人間は居ない

自分でいうのはアレだけど、はっきり言って、今、世界の平和は僕一人の双肩にかかってる

 

世界のために命がけの任務を命じられた、たった一人の担当者である僕が、任務遂行上の必需品を買うのに「買うか、買うまいか?」で半日も悩んでる状況ってどうなの?

それに今だって1食浮かすために昨日からメシ抜きなんだよ。

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倒れているゴブリンたちの懐を探ったら、金貨が2枚見つかった

金欠だったからこれはありがたいね。

それから、1人目のゴブリンの脇に落ちている歯が8本

これもなかなかいいね。魔法の道具になるし。

 

(メタ記述)
金貨:4→6

ゴブリンの歯:4→12

 

苦労はしたけど、それなりの収穫とともに鉱山を後にした僕は、今度はひたすら下って森を抜けていく。

日が傾きかけると、ゆうべの狼男のことが頭をよぎる

今の状態でもう一回あれに出会ったら、今度こそジ・エンドかもね。

 

夜行生物の出現におびえつつ急ぎ足で歩いていると、前方の丘の中腹に小さな村が見えてきた。

助かった!

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罠とかは無しで頼むぜ。

カントパーニみたいに、通過させて待ち伏せとか絶対やめてくれよな

安全な場所であることに一縷の望みをかけ、僕はいっそうに足を早めた。

 

 

村へ入っていくと、カントパーニの時とは全く違った意味で、僕はよそ者感を味わうことになった。

ここの連中はみな髪を長くのばして、頭の上に高々と結い上げてるんだ。

そうか、ここはクリスタタンティの村だった。

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この一帯はカクハバード地区の中では、かなりのんびりした山間地域の農村って感じで、アナランド環境庁の名水百選に選ばれる泉や河川がいくつもあり、観光地として人気のある村だ。

 

そんな背景があるせいか、アナランドで至宝【王たちの冠】が盗まれ、世界に危機が訪れつつある今の状況も、このクリスタタンティにはさしたる影響を与えていないようだ。

 

桃源郷ってのは、まさにこういうところのことをいうのかね。

 

時間の流れが止まったかのような伸びやかな空気。

宿屋で落ち着く前に居酒屋でも入って、より一層にこの村の雰囲気を味わいたいね。

その土地へ行き、静かにその土地の「気」を感じるのが旅の醍醐味だね。

ただいつもどおりに騒ぐだけなら、別に旅行へ行かなくたってできるし。

世界中が騒然としてる中じゃあ、旅行先の人たちだって、ただバカ騒ぎする連中なんて迷惑なだけだと思うよ。

 

言いたいことは色々あるけど、とにかく僕は、一軒の居酒屋のドアを押した。

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もうここまででいいだろう。

僕は坑道を出ることにした。

体力の限界だし、とりあえずゴブリンのいた事務室奥の罠の廊下以外は全部見たからね。

 

厚生省が縄張りを主張して僕たちに開放しない屋内施設は、意外に少なかったわけだけど、どうやら粉塵被害を受ける労働者と、鉱山内作業で発生する微小粒子状物質の処理には問題がありそうだね。

 

でもさ…

事務室の奥に罠があるってことは、裏を返せばそこには他人を入れたくない理由があるってことだよね。

今回は別件の業務があるからここまでにしとくけど、【王たちの冠】の奪還が終わったら、今度はあの真っ暗な廊下の奥まで進んでみよう。

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さて、洞窟入り口にはたくさんのゴブリンがいるから、連中に気づかれないようにしないとね。

 

(メタ記述)
運だめし(強制)が発生。サイコロ2個の結果は【9】

失敗(不運)だ・・orz

運勢ポイント8→7 失敗したうえに、次回のハードルが上がる。あんまりだ・・

 

クソッ!

3人に見つかった!

僕を取り囲み、3方向から狙ってきた。

こいつらは弱いけど、いっぺんに相手するのはどう考えても厄介だ。

剣は1本だから、一度に相手にできるのはひとりなんでね。

 

(メタ記述)
主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力4
ゴブリン1:技量5 体力4

ゴブリン2:技量6 体力4

ゴブリン3:技量4 体力5

 

戦闘がまともにできる体力じゃないよ。

ここは一発、呪文に賭けて乗り切ろう。

敵の絶対数を減らすことに特化した、攻撃強化魔法でいくしかない!

 

「RAZ」

さっき現場監督ゴブリンに使った、剣の切れ味を上昇させる魔法だよ。

蜜蝋を剣に塗って使うんだけど、これで残りを使い切った。

 

(メタ記述)
RAZは道具を使う呪文なので、体力を1消費(蜜蝋1→0)

主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力4→3

これマジヤバいっす!!

 

ハァッ・・ハァッ・・

危なかった。

やはりゴブリンだからと舐めてかかってはいけない。

敵が複数のときは、他の2人の攻撃は防ぐだけになるから、もしも相手の攻撃が勝ると一方的に喰らっちゃうんだよね。

だから、RAZを使った一撃死を狙ったのが功を奏したね。

 

(メタ記述)主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力3

複数戦闘のルールを忘れたまま終了してしまい、やり直しました。今後はしっかり記憶にとどめておきます。

あと、なぜゴブリンと戦ったのかは、まあ、選択の余地なく一方的に襲われたということで…

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