ゲームブックをご存知の方は、どれくらいおられるでしょうか?

かれこれ40年ほど昔・・

ほとんどの家にコンピュータやゲーム機など無かった時代のこと・・
手に汗握る異世界冒険を楽しむといえば、ドラマや映画、小説などがもっぱらでした。

しかし、いくら感情移入できる名作も、所詮は一方的に見せられるだけ。

自分の判断で行動を選べるわけではない。

感情移入に比例して、欲求不満も高まってしまう。

 ゲームブックは、そんな欲求に応えるものでした。

『ロールプレイができる本』

初期のゲームブック作品には、ストーリーや説明を読み上げ、一定のルールに基づいてジャッジするゲームマスターが必要でした。

 プレーヤーはマスターの説明で状況を把握し、マスターが演じる登場人物との会話で冒険を進めます。

 イメージ的には「マスターが親、プレーヤーは子供たち」という図式で、現代ならボードゲームに近い感覚でしょうか。

 どちらにしても、一人では楽しめないのがゲームブックでした。

ボッチには優しくなかったのです。

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しかし、やがてゲームブックは進化していきます。


シーン(パラグラフ)をバラバラに配置することで、本自体がゲームマスターの役割を果たせるようになりました。

 ゲームブック自体は小説ですが、1ページ目から順に読んでいっては話がつながりません。

 現在のパラグラフ中で指示される番号へ移動すると続きが読めるという構造になっています。

選択肢が複数ある場合は、そこで物語が分岐します。

もしあのとき、こっちを選んでたらどうなってたんだろう?」

などと、選ばなかった選択肢に後ろ髪を引かれながら読める小説なんて、普通はありません。


これがゲームブックの楽しさ。ボッチでもプレイできるアナログRPGゲームなのです。


パラメータ設定とランダム要素も実装

ゲームブックでは、最初にサイコロで決めた自分の能力値が冒険のすべてを左右します。

旅先で起こる不確定要素もサイコロで決めることが多く、自分の判断だけでは結果が決まらないストーリー展開も随所に含まれます。


 能力値はどのゲームブックでもだいたい共通していて「技」「体力」「運」です。

作品によっては「使える魔法の数」みたいな独自要素を持つものもありますが、大体はこの3つの要素です。

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現代のRPG的表現でいえば・・
“技”とは「攻撃力」「防御力」「敏捷性」「巧緻性」といった要素のミックス
“体力”は「HP」
“運”はいわゆる「うんのよさ」です。

 これらの数値は、プレイ中の戦闘や危機回避などの駆け引き、又は運だめしのシーンで上下します。

 それによりゲーム難易度は大ブレします。

いずれのパラメータもよほどのことがない限り初期値を超えられません。


 また、装備品は背負い袋に入れることになりますが、有限性が描かれるシーンも多く、垂涎もののアイテムを発見した場合も、文中の指示しだいでは「他のアイテムを捨てるか、見つけたアイテムを諦めるか?」の選択を迫られます。

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やはり、ゲームブックといえば【ソーサリー】

ゲームブックはたくさん刊行されたので、作品の良し悪しはピンキリでした。
それでもテレビゲームが台頭するまでは、RPG市場では大きな存在でした。

無数に刊行されたゲームブックの中でも際立って秀逸で、未だ根強い人気を誇る『ソーサリー』


魔法使いの丘‾ソーサリー (1)

詳しくは下の記事に書いていますが、この中の第1巻【魔法使いの丘】をやってみようと思います(創土社版だと同じ作品が【シャムタンティの丘を越えて】というタイトルで発刊されています)。


シャムタンティの丘を越えて (Adventure game novel―ソーサリー)


blog.dbmschool.net

ゲームブックをプレイする様子をブログに上げる試みは、すでに多くの方がされています。

中には上の記事で紹介した「68さん」のように、初見プレイで死にまくりながら敢行するスゴイ人もいて、これは臨場感もあって読者も楽しめるのですが、私は知り尽くしたうえでプレイしてみます。
(ちなみに68さんのサイトはリンク集に貼ってますので併せてご覧いただくと、なお一層堪能できると思います。ぜひどうぞ)
 

主人公はアナランド国の国家公務員・『僕』。

『僕』はアナランド環境庁の職員で、官僚的力関係によるパワハラ的要因で、過重な任務をたった一人で負うことになり、ムリヤリの補正予算が中抜きされたショボい真水予算で過酷な旅に出ます。

実に腹立たしい限りで人権無視もいいところだけれど、公僕である『僕』にワガママは許されません。

ただ、『僕』は環境庁職員として各地の調査データを豊富に持ち、現場のことを徹底的に調べ上げていた。

 このような設定で『机上スタッフだが現場への理解が深い男が、現場へ出て力を発揮する様子』を、ソーサリーの冒険で示してみたいと思います。

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