大蔵省へのゴマスリのために、アチラで行き所のなくなった使えない幹部を引き取るため、国運をかけた今回の任務のための特別室をこさえたというのに、当のご本人がご自分の身勝手なスキャンダルで官界を去り(表向きは、だけどね)、用無しになったカクハバード特別環境調査室は、結局僕の人事発令日まで幽霊のような存在になり下がった

この部屋の運営維持のために組まれたはずの多額の補正予算は、今頃どこで何をしてるんだろう?
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でも、新設の調査室が正式発足後は、幽霊室も実体化せざるを得ない。

一時はすっかり身を隠してしまった多額の予算も隠れ家から次々に姿を表し、この調査室唯一の所属員であり、何より命を懸けた過酷な任務の実施担当者である僕の心と体を潤わせるために、一身に尽くしてくれるはず。

金貨のベッドに横たわり、金貨の風呂に入り、金貨で身体をぬぐって・・・、いやもう酒池肉林の日常を満喫できるだけの金銭をジャンジャン使えるという期待(妄想)は、ある程度はあった。

しかし、事実は僕の想像(妄想)のナナメ上を突っ走ったんだ。

『環境情報センターへの配属を命じる
(併任)カクハバード環境調査室への異動を命じる』

なんだって? (併任)だと?
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「環境情報センター」っていうのは、僕のこれまでの所属だ。
カクハバード特別環境調査室へは併任という形を取り、今回の人事はいわゆる「併任人事」になることが、しばらく前に決まったんだ。

辞令が出るっていっても、こうなったら肩書きが増えただけみたいな結果になることが多い。

要は「お前はいつも通りに仕事しろ。でも併任部署のほうで何かあるときには、そっちにも対応しろ」ってことだよ。

しかも僕はまだ係員。つまりヒラだから辞令に役職が明記されない。
これだと“肩書き”もへったくれもないよね。

係員時代の併任っていうのはあまりないけど、仮にあったとしたらこんな感じになるという見本みたいなもんだ。

けど僕の場合、併任部署(命がけの奪還)のほうの業務専任になる。

だったら「環境情報センター」のほうを併任にしろよと思うけど、そうはならないところがまた腐ってるよ、ホントに・・。
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人事の慣習上、今までの部署における立ち位置に、僕は依然として居続けている。
僕を管理監督して、評価するのもこれまでと同じ上司がすることになっているんだ。

特別任務だといっても、直接の監督者がいない新設部署で働くプロセスは、誰も評価できる上司がいないってことだよ。

これがこの企画を仕組んだ人間にとって大事なところで、僕が新部署のほうに「併任」しているかぎり、そこに基づく処遇などは全てぼやかすことができる。

カクハバード特別環境調査室に示達された多額の補正予算の中から、申し訳程度にお金を出せば、連中(誰なんだ?)の懐は痛まないという仕掛けだ。
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そんなわけで、補正予算がいくらつこうが、任務実行者にどれだけの計画予算が組まれようが、それは眺めるだけで決して手を出すことができないお飾りみたいなものにすぎないっていう現実を、僕は全身で味わっている。
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