ちなみに、異様ないでたちではあるけど、サイトマスターはれっきとした人間だよ。

衣装が奇抜なせいと、彼らが受ける特殊訓練によって、特別に発達した目のサイズの大きさが目立つので、エルフ族やドワーフ族などと比較すると人間離れして見えるけども、サイトマスターは僕と同じ人間種族だ。

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「おぬしの訓練ぶりを見てきて、おぬしこそこの任務にふさわしい闘士だと確信した。幸運を祈る」

武骨なサイトマスターの軍曹は、心からの言葉を僕にかけてくれた。
王国を苦しめている呪いと憂鬱が消え去りますようにと、何かにつけてはアナランドの国と国民の幸せを祈っている男だ。

どうやら彼も、ベテランのサイトマスターによくみられる“公僕の鏡”みたいな人格者らしい。

政府の度重なる判断ミスのツケが最もひどく押し寄せる末端現場のひとつがここだ。
そのせいで過酷な勤務状況がずっと続いている

ほとんど休みも取れずに働き続け、疲れてるはずなのに、まず全体を思いやる性格がにじみ出てるね。

責任感もすごく強いし、それに見合った実力も持ち合わせた「ザ・プロフェッショナル」だよ。

たぶんだけど、シャランナから【王たちの冠】を借りたとき、その警備は彼らに任せるべきだったんじゃないかって、僕は思うんだ。

ってか、誰だってそう思うだろう。
世界平和樹立の夢をモロに担う、国家レベルの責任を伴うことなんだしさ。

冠の借用期間はきっかり4年。
その警備を公務員の彼らが担当すれば、2年と2年で人事異動のスパンにだってピッタリはまるしね。

なぜ政府はハンナなどという御用商人からシロウト警備員を調達し、今やフェンフリー同盟諸国の国宝となっている大事な冠を見張らせたのか?

どう見ても最初から失敗フラグを立てていてさ。

「もうそういう名目はいらないからさ。直接現ナマ渡してそっちの話は終わらせてだよ、現場の実務は本当に能力ある者を配置させてよ。余計なチャチャ入れて実務の邪魔すんなよな」

ホントそう言いたい。

お仲間にマネーを渡すアリバイに「お仕事」を仕立ててるだけじゃないか。
ぶっちゃけ、仕事のクオリティなんてどうでもいいんだ、利権まみれでカネの動きしか見てない連中ってさ。

純粋な労働者層の実務をかきまわす迷惑手法に、僕も含めた非・上級国民はホントうんざりしててね。
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