フェンフリー国の王・シャランナから借り受けた世界の至宝【王たちの冠】を、アナランドが奪われたことだって、冠をダシにした既得権者の金儲けがそもそもの原因だと思うよ。

連中にとっては冠の警備なんて「ついで」みたいなものだったんだろう。
だから、いちばん肝心なところが手薄になったんじゃないかな?

政府とハンナとの間にどんな利権がらみの筋書きがあったか知らないけど、長年にわたる特別訓練を積んだ専門職のサイトマスターを擁しながら、わざわざシロウトなんかに大事な冠の警備を任せた政府の失態だ。

どうでもいい内容の事柄で、しかも何の問題も起きさえしなければ、ただカネを流して中抜きでウハウハできたんだろうけど、いざ問題が起きたときに顕われる馬脚が、あまりにもお粗末すぎて見るに耐えない

そしてしくじったマヌケな実行犯が、教唆した奴に泣きついたときのリアクションがまた、領民の怒りと不信を買うんだよなぁ。

ハンナへの厳しい責任追及を躍起になって終息させたのは政府だからね。
まったく、始末の悪い茶番だと思う。

今の政府が終息に力を尽くすべきものが、もっと目の前にあるじゃないか。

どうして自分たちの仲間をかばうことのほうが、国民の生命財産より優先されるのだと、大衆はさかんに呟いているよ。

いくらハンナが人材調達でのし上がってきた商人だからといって、ただカネを流せばいいというものじゃないと、同じ公務員の僕でも思う。

かけた金で成果を上げてこその経済政策であり、むやみに特定箇所にジョボジョボ垂れ流すのは全くの筋違いだ。

公務員の僕が言ってもあまり説得力ないかもしれないけど、税金の使い方を「派手」とか「華やか」、「便利」とか「手軽」といったふうに、安易な方向にシフトするのは良くないと思うんだよね。

質実剛健かつ効率の良い使い方ができる能力がないなら、無理して自分の担当期間内でお金を使おうとせず、できるだけ早々と自らの座を明け渡し、より優れた使い手に委ねる決断だって大事だ。

予算額の大きさを自分の勲章にするんじゃなくて、高度な政治的判断によって勇退し、その潔さと貢献度が今なお称えられる政治家とか官僚だってアナランドの歴史には残ってるし、そういうの小学生のとき教科書で見て憧れただろ?

だからこの世界での活躍を目指してきたはずなのに、けっきょく成長したのは地位と名誉と財産への執着心だけだったなんて、小学生の頃の自分に語れる? 誇りを持てる?

自分の力不足を認める姿がどれだけダサくたって実質本位を心がけてさ、どれだけ不便だって地道に取り組むのが、「稼がなくても生きていける」公務員のとるべきスタイルだと思うよ(むろん政治家もね)。

このサイトマスターの軍曹だって、いかにも政府や官僚のウラ事情には通じてなさそうでさ。
どうにもあか抜けない、いかにも「冴えないオジサン」ってカンジなんだけど、だからこそ実直な仕事を淡々としてくれる。

IMG_20200907_174343

結局、最後のさいごに信頼のおける人物っていうのは、こういう人のことなんだと思う。

僕は少しだけ心をほっこりさせてくれたサイトマスターに見送られ、城門を後にした。
とうとう正式に出国し、任務の途に就くんだ。
ブログランキング・にほんブログ村へ