ところで、「魔法」ってどんなものか、知ってる?

この旅で初めて魔法を使うことになるから、最初に1回だけ説明しておくよ。

 

魔法って聞くと、不自然で不可思議で非現実的なものだって思っちゃうよね。

 

でもね、魔法ってのはあくまでも『超』自然現象であって「不自然現象」じゃないんだ。

 

たとえばさ。

 

水中の敵と戦う時に、火の玉を飛ばすHOTの呪文を使うと、当然だけど相剋の関係が生まれるよね。

たとえ呪文で火が作れても、それを水中で使おうとするようじゃ、魔法使いとは言い難い。

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もちろん、強引に炎系呪文でケリを付けられないことはないけど、それって自然への冒涜みたいなもんでさ。

 

けた外れの力を持った魔法使いなら、周辺の水という水を乾上がらせて勝つこともできるはずだけど、はっきり言ってそういう魔法使いは長持ちしないと思うよ。

少なくとも僕が知るかぎり、現役のベテラン魔法使いの中に、そんなことをするタイプの人はひとりもいない。

 

「魔法を学ぶ」っていうのは、まずそういった理(ことわり)を知ることから始まって、結局さいごの最後までバカみたいに徹底した現実思考のパターンで、長い間生活させられるんだ。

 

だから、魔法使いは例外なく、けた外れな現実的思考を持っている。

神秘的だと思ってる人が大半だと思うけど、それは大間違いなんだ。

 

神秘的な魔法使いなんて、実際にはただのひとりもいなくてさ

頭のてっぺんからつま先に至るまで、徹底した現実主義が詰まってる人種なんだ。

意外でしょ?

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「魔法使いは知的で賢い」って、よく言われるよね?

あれこそ、魔法使いが徹底した現実主義者であることを表す評価だと思うんだよね。

 

現実を極めると、他人からは非現実的に思われる。

一分の隙も無いほど徹底的に、ありとあらゆるロマンチシズムを放棄した結果、その代償として手にできるのが『呪文』てやつでね。

 

普通はさ、夢とかロマンとかの延長上に魔法が存在してて、それで『呪文』を求めて魔法を覚えようとするでしょ?

だから覚えられないんだ、魔法はね。

 

「どうも魔法を覚えられない。呪文が身に付かない」と嘆く人は、心のどこかでまだ魔法に対する幻想を捨てきれてないからじゃないかと思うよ。

 

魔法を覚えたいタイプの人ほど身に付かない、なんとも皮肉な特技なんだ、魔法ってね。

だからこそ、ニヒルな僕にはピッタリのものだったわけだ。

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