この迷惑な生き物は自分の名を「ジャン」と名乗った。

迷惑なくせにやけに親し気でさ。

前方の村はビリタンティで、村人は親切だから、旅人たちはみなここで1泊はしていくと怪しいガイド情報を僕に聞かせてくるんだ。

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客引きのバイトでもしてるんじゃないのか?

僕はそんな簡単に言いなりにならないからな。

 

だいたい、どうせお前も村情報には詳しいけど、アナランドでGOGOトラベルキャンペーンの対象地域からカクハバードが外されたなんて知らんだろう。

 

「アナランド、やっちゃったね。ククク…、『圧倒的にカクハバード問題』とかいって、急にこの一帯をGOGO除外地域にしちゃったでしょ?」

…コイツ、知ってやがる。

 

「でね、2か月後くらいに急に解除するよ。それから2カ月くらいしてやっぱり問題が起きると『カクハバード地区から要請があれば、各首長の責任においてまた除外』ってやりだすよきっと」

オマエ、どこまで知ってるんだ…?

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どうやらとんでもない情報通らしい。きっとコイツの住まいは2階にあるな。

とにかく僕はコイツに用がない。

それどころかコイツのせいで命取りになることは必定。

去ねさらせ!

 

「いうよね~!」

僕を嘲笑うかのようにジャンは言う。

「でも、どうしてもついて行くからね~!」

 

ムカつくから両手でパチンと叩き潰してやろうとするんだけど、やはりコイツは動きが速すぎて捉えられない。

しばらく頑張ったけど諦めることにした。

仕方なく、僕はジャンを肩に止まらせたまま丘を下り、ビリタンティ村へ向かうことにした。
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まんまと客引きに成功した格好のコイツに、いくらのバックがあるんだろうか?

そう考えるとムカムカする。

 

それに、コイツを引き連れたままだと魔法が使えない

 

ジャンがビリタンティ専属だったら、魔法封印状態は村を出るまでの間だから何とかなるかもしれないけど、もしも「シャムタンティ担当」だったら、この先もずっとこのままで、カーレの街に入るまで僕は戦士と同じ行動しかとれない。

 

魔法使いは呪文習得に時間を取られるので、戦士よりフィジカル面で弱いのが普通だから、呪文が使えない魔法使いは、ひとことで言えば「戦士の劣化版」だ。これはマズい。

 

そして、まさかとは思うけどジャンが「カクハバード担当」だったら、うっかりコイツに目を付けられてしまった僕の冒険は、終わる…。

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