ミニマイトには謎が多い。
仮に連中が魔法を使うとしても、僕たちが学ぶそれとは系統が違うはずだから、人の心を読むのに必ずしもTELという呪文を使うとは限らない。
「どうして急にボクの頭を凝視するんだよ!」
僕はホッとした。
あまりにもいいタイミングで僕の思考をさえぎったうえ、疑いを持った瞬間にカツラ疑惑を否定するもんだから、ジャンが心を読む魔法を使ってると思ったけど、そうじゃなかったんだな。
オマエみたいなおしゃべりに心を読まれると厄介だからな。
「そんなことより、キミ、誰かに見張られてるよ! さっきから気配がするんだ!」
なんだそんなことか。
その程度、別に今始まったことじゃないよ。
そんなの、襲ってきた敵と戦えばいいだけだろ?
それより、役所で人間の心を持たないあの会計担当者(あだ名:財務大臣)との接触ときたら…
際限なく湧き上がる怒りを抑える苦労に比べれば全然楽だよ。
思い切り剣でぶっ叩いてもOKでしょ?
とはいえ、呪文が使えない今、襲われたら本当に剣で戦わなくちゃならないから、ホントはそれも困るんだけどね。
そんなことを考えながら森の中を進んでいくと、とつぜん目の前に黒装束をまとった背の高い男が立ちはだかった。
昨日はクイズじじいが僕の前に立ちはだかったけど、あれとは迫力が違う。
話しかけたが男は答えず、鋭い半月刀を握りしめた。
エクササイズ系か。苦手なんだよね。
呪文が使えない僕は、この旅が始まってから、おそらく初めてとなるガチの戦闘を覚悟した。
<メタ記述>
刺客:技量ポイント8 体力ポイント6
主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力ポイント18