【公的勇者】ソーサリー主人公が高卒公務員だった場合

スティーブジャクソンの傑作「ソーサリー」のプレイ小説。 愚痴と不満が渦巻くニヒリズムファンタジー

カテゴリ:1日目(5月26日) > シャムタンティの丘へ

妙な物音は、不快な羽音だった。

僕は耳元で虫の羽音がすると、ブルブルッ!と頭を振って払いたくなるタイプなんだけど、みんなもそうかな?

 

その気になって見上げるとすぐにわかるんだけど、蜂の巣があってね、音はそこからのものだった。

さっきは老人を助けるのに夢中だったから、全く気付かなかったよ。

ゾッとしたけど、蜂の数はそんなに多くないし、よく見るとミツバチだった。

 

僕は、さっき老人から手渡された呪文の書を見た。

害虫を追い払う魔法なんだけど、これは僕が学んだ系統の魔法とは全く違っていて使えない。

それにだいたい、ミツバチは害虫じゃないしね。

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このまま素通りしてもいいんだけど、蜜蝋が魔法の道具に使えるんだ。


RAZ
っていう呪文でさ。

武器の刃に蜜蝋を塗ってこれを唱えると、一時的に切れ味がグンと良くなって、斬ったときに敵に与えるダメージが倍になる優れものだ。

 

前にも言ったけど、今の僕が一番欲しい魔法の道具は「攻撃補助」と「攻撃回避」に使うものだから、蜜蝋はまさにピタリだ。

 

それから、ミツバチの巣には蜂蜜があるはず。

食料が不足している現状、ちょっとでも補充したい。

ってことで、ミツバチたちには悪いけど、ちょっとお邪魔するよ。

 

警戒の羽音が、明確な攻撃に変わるのはあっという間だった。

沢山の蜂が僕を取り巻いてホバリングしたかと思うと、一斉に突進してきた。

 

「ウワッ」

想像していたこととはいえ、やはり蜂の集団に襲われるのは肝が冷える思いだね。

普段なら絶対にこんなことはしないよ。

ただ、僕は今、なんとしても生き延びねばならない状況に置かれてるんだ。

 

悪いがここは、弱肉強食の原理を適用させてもらうよ……ってか、木登り中で両手が使えない僕のほうが圧倒的弱者だ。

容赦なく襲い掛かってくる蜂たちを、身じろぐ程度に体を動かして何とかやり過ごす。

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「イテッ!」

ダメだ。そんな程度でこの素早い蜂の集団を躱せるはずがない。

僕はかなり手ひどく攻撃を喰らってしまった。

 

(メタ記述)
本文指示では「サイコロ1個を振って1~4ならそのダメージ。5か6ならノーダメージ」となっていますが、残念なことに「4」がでて最大ダメージを喰らいました。

主人公の体力ポイントはこれで19→15になりました。

 

「やれやれ・・」

ほうほうの体で何とか地上に降り立った僕は、目論みどおり蜜蝋と蜂蜜をゲットできた。

蜂蜜はもちろん、普通に店で売ってるみたいなドロドロの状態じゃなくて、ハニカム構造のまま外皮的な白い膜に覆われてるから、噛みついて破らないかぎり流れ出したりはしない。

 

これだけあれば1食分にはなるだろう。

助かったよ。これで手持ち食料は3食分になったね。

さて、それじゃあ本道に戻って前進だ。

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樹上の老人に出会ったとき、道が二手に分かれていたことを覚えているかな?

再びそこへ戻った僕は、躊躇なく丘を登る道を選んだ

下りは谷間を下って行くんだけど、分岐する地点から見ると当然低い位置になる。

だから、視界が開けて気持ちいいんだ。

 

ってことで下りは却下。理由は「気持ちいから」

エッ? なぜかって?

 それは、今は嫌な仕事してる最中だから


「嫌な仕事だからこそ、せめてプロセスを楽しもうよ」って考え方は、僕にもよくわかる。

そうしないと精神が参っちゃうこともあるだろうしね。

 

でも僕の考えはちょっと違うんだ。

そもそも“嫌なこと”なんて、わざわざ自分で選んだりしないでしょ?

いわば「せっかく嫌なことをしてるレアな状態」っていう言い方もあると思うんだ。

だから「せっかくのレアケースに水を差すようなことをしないで、嫌なことを極めていく」っていう発想でね。

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そのほうがメリハリが利いて、やり遂げたときの充実感もひとしおでさ。

そこに至って、徹底的に楽しむんだ。

僕はお酒を飲まないけど、風呂上がりのビールだけを楽しみに熱いお湯につかってる最中、コーラを飲む人っていないでしょ?

 

さて、うねうねと曲がりながら丘を登るうちに、いつしか僕は森の中に入っていた。

木漏れ日を感じながら森林の間を抜けるのも悪くない。

一休みして食事ができそうな場所を見つけたけど、何せ食料の備蓄が乏しいからね。

僕は休憩を諦めて先を急ぐことにしたんだ。

買い物で時間を取られ過ぎたこともあって、少しペースを早めたいってのもある。

 

2、3時間ほどせっせと登り続けると、空気が一気にひんやりしてきた

高度のせいもあるだろうけど、それよりも日が落ちてきたからだと思う。

なおも足を速めて歩き続けたけど、太陽が完全に沈むと、さすがに見通しが利かない。

そのうち満月が足元を照らしてくれるようになったけど、さすがに今夜はもう休もう。

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野宿を決め込んだ僕は、適当な場所でキャンプを張った。
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気が張っていたこともあって空腹感はなく、乏しい食糧のことを考えて食事は摂らずに毛布へくるまった

夜行性の生き物の存在だけが気がかりだった。

 

眠っていると、何やら足音がする。

最初は小動物かと思ったその音が、だんだんはっきりするにつれて僕の心臓の鼓動は大きくなっていった。

(かなりデカいやつだ)

 

暗がりの中に目を凝らすと、何かが立っている。

遠くて暗いので遠近感がつかめないけど、人型の恰好をしている。

でも、どう見ても人間の顔じゃない。それに、耳があんな位置にピンと立っているなんて、この辺だと狼男しか考えられなかった。

(チッ…よりによって一番手ごわい夜行生物かよ)

 

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(メタ記述)
どうもサイコロ運がよほど悪いらしく、夜行生物判定で「2」が出ました。

キャンプを張っていると補正が利いて3以上なら出現しないのですが・・

これなら野営せず、夜通し歩き続ければよかった・・

夜通し歩く選択ならキャンプ補正が利かない代わりに「2」は最弱のジャイアント・バットなので、戦いは楽です。

「キャンプ張ってて2が出る」のは、最強の狼男に遭遇する最悪なコースなのです…… orz

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キャンプに出現したのは、このあたりで最強の夜行生物・狼男

僕は覚悟を決めて立ちあがり、戦闘態勢に入った。


立ってみると、狼男のデカさがわかる。2メートル30センチから50センチくらいはありそうで、これだけ距離を保ってもなお、首を上に傾けないと顔が見えない。

しかもコイツは人型だが運動能力は人間のそれじゃない。

こんなにデカいのに、動くスピードは僕らを凌駕する速さなんだ。

 ( ↓ 一番下のヤツ)

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どうする?

剣で戦うか、魔法を使うか・・

 

先刻、カントパーニの出口で戦った山賊のときと違い、今度の相手は1匹だ。

さっき買った広刃の剣の切れ味を試すのもいいけど、狼男の強さは定評があって、正直僕の力だと攻撃を喰らっちゃう可能性があるんだよなぁ・・。

 

(メタ記述)狼男:技量8 体力9

        主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力15

 

ひょっとしたらノーダメで勝てる可能性もあるけど、ここはあえて呪文を唱え、体力の代償を払って、最小のロスで手堅く切り抜けることにした。

「BIG」

呪文を唱えると同時に僕の体は巨大化し、普段の3倍の大きさまでデカくなった。

僕を見下していた巨漢の狼男が、今度は驚愕しながら僕を見上げている。

すっかり脅えた狼男はもう、僕の敵ではない。

 

(メタ記述)
BIG使用による
技量ポイント2倍の指示あり
主人公:技量18(+1) 体力15→13(BIGの呪文で消費2)

 

一度もダメージを受けることなく、狼男を余裕で撃破した僕は、今度こそようやく眠りについた。

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但し、途中で眠りを妨げられたせいで、体力はあまり回復しない

それに、一日食べなかった代償が、ここへきて噴出した。

このダブルパンチ+狼男との余計な戦闘によって、僕の体力状況はかなりピンチになってきた。

 

(メタ記述)
不十分な睡眠で+1、空腹で-3

主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力11

 

色々あった初日だったけど、なんとか命は保ったな。

しかし、狼男との遭遇は全くの想定外だったな。

手持ちの金貨と体力がほぼ半減、といったところか。

もし明日も同じペースで進んだら、僕は文無しで命も失ってノタレ死ぬことになる。

 

期待の勇者が出発早々、わずか2日目で命を落としたなんてことになったら、アナランドでは一体どうなるんだろうね。

まあ、そうならないように、明日は回復ポイントでは必ず休息&食事をすべきなんだろうなぁ。

 

まったく、狼男はホントに予想だにしなかったよ。

 

(メタ記述)
今まで何度となくプレイした経験上、キャンプを張ったときに夜行生物が出たことがなかったので、これはまさかの想定外でした。マジでちょっと追い込まれてます。

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