「チッ」
値打ち物は見つからなかった。
どこかに何かを隠してるみたいなんだよな。
というのは、ゴブリンが首に銀の鍵をかけてるからね。
肌身離さず身に付けてるなんて、絶対にお宝のありかの鍵だと思うんだよね。
鍵には「111」という数字が刻まれている。
これが使える部屋さえ見つかればなぁ…。
この鍵を使って入る部屋の手掛かりを求めてあちこち探したけど、結局見つからなかった。
仕方なく鍵を背負い袋に入れた僕は、当初の目的どおり、この部屋を突っ切って奥むことにした。
111の鍵を使う扉が、この先にあると思うんだ。
奥の扉の蝶番の滑りの良いこと…
よほど556を念入りに吹き付けたんだろうね。
ってことはさ、だれか偉い政治家とかがここ通ってるんじゃない?
ザ・ナカヌキ・ボーナスステージで確保した巨富の隠し場所とかさ…
僕は期待に胸を膨らませ、ひときわスムーズに開く扉を開けた。
扉を抜けると、そこは真っ暗な通路だった。
(なんだ? ここは)
どうも危険なにおいがするんだ。罠の存在がひしひしと感じられる。
ひょっとして意思111の鍵に釣られてやって来た侵入者を仕留める仕掛けでもあるんじゃないか?
怪我とかしても病院にかかるお金はないし、とにかく罠には用心したほうがいいと思う。
そして、クラピカ理論なんてものに頼らなくても、僕ら魔法使いにはそんなときに唱えるべき呪文がある。
「SUS」
これは、罠の存在を感じた時に有効な呪文だよ。
テレパシーが作用して注意の要否が判別できるだけでなく、注意すべき時には最上の防御策も指示してくれるすぐれものの魔法だ。
それだけでも充分ありがたいのに、さらにもし万が一、その時すでに罠に落ちてしまっていても、被害を最小限にとどめてくれることさえあるんだ。
道具が不要でお手軽に使えるわりに、かなりチート級の技だよね。
そして、テレパシーは僕に告げてくる。
危険だからこれ以上進むな、と。
これは従うべきだね。
僕は引き返すことにした。中抜き野郎の罠にかかって死ぬなんてゴメンだからね。
(メタ記述)
道具不用の【SUS】を唱えたため体力ポイントを2消費した。
主人公:技量8(+1広刃の剣) 体力10→8
道具:なまくらの剣、竹笛、ゴブリンの歯4、ジャイアントの歯1、デス・ハウンドの歯、スナッタキャットの歯、サルの歯、蜜蝋1回分、銀の鍵(111)
食料:3
金貨:4
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